株式会社オリナス・パートナーズ / ORINUS PARTNERS Ltd.

ケニア女性のための自然派スキンケア・ヘアケア事業

kenya3

プロジェクトの概要

  • 日本企業初の試み・アフリカの女性のニーズに合わせたヘアケア製品の開発
  • バリューチェーンにケニアのBoP層を巻き込んで行く事業モデルの設計

プロジェクトを立ち上げたきっかけ

アフリカでの事業展開、現地の人々の生活向上も視野に入れて。

ロート製薬株式会社は、アフリカ市場開拓の拠点として2013年、ケニアに現地法人を設立しました。ケニアは消費者の購買力、美容意識ともに高く、さらには人口の約4割が15歳未満という潜在市場の大きさも、進出拠点としての要件を満たすものでした。

しかしながら、まだ国内にはまだまだ貧困層を抱えているという現実的な問題もあります。そこで同社には、主要業務の展開によりケニアの人々のニーズに応えることに加えて、「現地の人々の生活向上に役立つ事業」を立ち上げたいという構想もありました。

そのような中、オリナス・パートナーズの前身組織であるアライアンス・フォーラム財団企業パートナーシップ部門が、BoPビジネス展開を検討している日本企業向けに勉強会を開催したことがきっかけとなり、事業アイデアの具体化に向けた話し合いが始まりました。約半年間にわたる議論を経て、事業構想が固まったことから、ロート製薬の社内にプロジェクト立ち上げが決定しました。同時に、同財団(当時)と共にJICAの支援制度である「協力準備調査(BOPビジネス連携促進)」に共同提案を提出、これが採択されたことも後押しとなり、2014年4月から本格的なプロジェクトが立ち上がりました。

事業の特徴

調査で掴めた現状、そして将来はケニア由来の天然成分を生かしたヘアケア製品を。

ケニアでは近年、女性の社会進出が目覚ましく、経済的にも精神的にも自立する女性が増えています。しかし、依然として男性優位の文化のなかで、女性は自己の確立を模索しています。本プロジェクト期間中に美容に関する現地調査を行ったところ、ヘアスタイルはおしゃれだけでなく女性の社会的地位を表す重要な要素であること、また最近では健康意識の高まりにより自然派の化粧品への関心が高いことが分かりました。一方、ケニアの社会課題に目を向けると、農業はGDPの25%、労働人口の60%を構成する重要な産業であるにも関わらず、貧困層の7割を占めるとされる小規模農家が生産する農作物の買取り価格は低迷し、一部は廃棄されているという現状がありました。

本事業は現在も進行中で、現段階では具体的な製品設計を行っています。調査結果からロート製薬では、現地のニーズに合わせた自然派ヘアケア製品を開発、販売することでケニア人女性の美と健康を応援するとともに、将来的には原料に現地生産の農作物を利用すること農家の生活の安定化に貢献することを目指しています。

オリナス・パートナーズの関わりとプロジェクトの成果

社会課題の視点を事業コンセプトにkenya2

オリナス・パートナーズは、プロジェクト期間を通じて「ケニアの社会課題への貢献を事業のバリューチェーンにどう組み込むか」という視点から、調査の設計、実行を担当しました。特に、企業ミッションの確認と事業コンセプトづくり、現地でのニーズ調査に基づく製品コンセプトの決定、事業パートナーの検討など、重要な局面において企画段階の大方針がブレないよう、全社的な経営方針にも配慮しつつ、ロート製薬のメンバーとともにプロジェクトを運営しました。
これにより、ロート製薬のプロジェクトメンバーからは、単なる調査に留まらず事業化判断につながる意思決定がなされたこと、また通常は調査が進むにつれて見落とされがちな社会課題の視点が事業計画にも盛り込まれたことを評価いただきました。

ご担当者の声

ロートメンソレータム・ケニア社 代表 阿子島文子(あこじまふみこ)様
ご担当者
アライアンス・フォーラム財団の頃からのお付き合いを含めて通算3年間ほどプロジェクトをご一緒し、アイデアの段階から事業化まで、試行錯誤しながらようやく社内で事業として認められるまでになりました。JICAの調査が採択されたことにより部署を超えたチームメンバーが集まり、さらに調査結果を得たことでアフリカ市場への会社としての関心も高まりました。その間、オリナス・パートナーズからはビジネスと社会課題の両面からの視点で実効的なアドバイスを得られたことは協業の大きなメリットだったと思います。事業としてはこれからですが、今後も事業活動を通じてアフリカの人々の生活に貢献していきます。
プロジェクト一覧へ