株式会社オリナス・パートナーズ / ORINUS PARTNERS Ltd.

沖縄の薬用植物「月桃」を活用したケニアの生活習慣病予防事業

ケニアで増える生活習慣病と女性の健康意識

ケニアでは、生活習慣の急激な変化に伴い糖尿病、心血管疾患等の生活習慣病が増加しています。ケニア政府は医療アクセスの改善や行政能力の強化に取り組んでいるものの、これらの施策が効果を発揮するためには市民レベルでの意識向上と予防のための生活改善が欠かせません。ところが、ケニアでは、食生活の欧米化等に伴い先進国以上のスピードで糖尿病が増えていることが明らかになっています(グラフは2016年ランセット誌より)。政府は、2015年の報告書のなかで、国民の健康に関する意識が低く日々の食習慣に問題があることを挙げています。そこで、本プロジェクトでは、家族の食生活に大きな影響力を持つ女性の役割に着目し、女性の健康意識と一般家庭の食生活の向上に役立つ事業の可能性を探ることになりました。


「月桃」の効能とケニアでの事業の構想

本プロジェクトでは、沖縄で古来から重用されているショウガ科の薬用植物である月桃(ゲットウ)をケニアで栽培・加工し、販売することを通じて女性の健康意識と家庭の食生活の向上につなげる事業を検討しています。月桃はケニアでもシェルジンジャーの名で観賞用に広く栽培されていますが、その効能は知られていません。月桃は血圧、血糖、コレステロールを低下させるポリフェノールやリノール酸を豊富に含み、糖尿病や心血管疾患の予防に効果があります。また、栽培が容易なわりに薬効成分が強いため、安価なお茶から高付加価値の基礎化粧品まで応用範囲も広い植物なのです。

この事業の発案者であるエーワールド株式会社は、国内で美容と健康に関する製品開発やアドバイス事業を行う企業ですが、以前から月桃の持つ力に着目しており、またケニアでの社会貢献にも意欲を持っていました。そこで、ケニアにネットワークを持つ一般社団法人OSAジャパンの協力を得て現地での調査を開始しました。その結果、現地で月桃生産が可能であること、また、月桃製品を用いた女性への健康教育が糖尿病予防に貢献する可能性があることが確認されました。そこで、本格的に事業化に向けた調査を進めるため、オリナス・パートナーズへの協力依頼があり、2017年から一緒に製品開発に向けた関係者との面談、現地でのニーズ調査、パートナーとの話し合いなどを進めています。


今後の展開

調査と事業化準備を同時に進めるため、ケニアでは生産パートナー及び製品を普及させるための仕組みづくりと女性グループとの話し合い、日本国内では美容製品の販売に強みを持つ企業及び沖縄で月桃製品を開発・販売する企業と協力し、製品開発を進めています。このプロジェクトの最終目標は、製品の販売と消費に関わる女性の意識と行動が変化することで周囲の人々の生活習慣が改善することですので、ケニアの女性が意欲的に知識を学び、周囲に伝える仕組みとネットワークをつくることが今後の目標です。

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